犬の乳糜胸は原因不明でかつ特発性の症例が一般的であり、決定的な予防法も確立された治療法もありません。特発性乳糜胸に対する内科療法としてルチンや低脂肪食などがよく使われますが、残念ながらその治療効果は一定ではないのが現状です。一方で、胸管結紮術および乳糜槽切開術を併用した外科治療は有効な治療法であると報告されています。この動画では、「胸管結紮術」について、犬の乳糜胸の基礎知識をおさらいし、症例の検査結果及び画像を共有しながら、鑑別診断・治療法・術式の選択など一連の流れを紹介した後に、オペ解説に入ります。解説は心臓外科のスペシャリスト・井口和人先生が行い、豊富な臨床経験に基づいたアプローチのコツ、注意すべきポイント、そして再発時の対処法をお伝えします。今回は胸腔鏡下で行う特殊な手術ですが、開胸と比べて侵襲が少なく、重症な症例ほど効果が分かりやすく、一考の価値のある手術ですので、ぜひご活用ください。
2007年麻布大学獣医学部を卒業。茶屋ヶ坂動物病院勤務を経て2011年より小滝橋動物病院に従事。その傍ら麻布大学循環器専科研修医として5年在籍し2013年に獣医循環器学会専門認定医を取得。現在は小滝橋動物病院目白通り高度医療センターセンター長として活躍している。 |